誠心堂薬局 | 予防分野における全国実力薬局100選

西野　裕一代表インタビュー
専門性を活かしてよりよい治療を

－誠心堂の企業の経緯を教えてください

薬剤師として働き、西洋医学による治療にどこか十分でないものを感じていた時に中医学（中国漢方）に出会いました。中医学では「人を診て病を診る」というのが基本の考えで、お薬もその人の体と心の状態を診て処方していくオーダーメイド治療。同じ病気でも体質によって違う薬を処方することもあります。こうした中医学の考え方は私が求めていたものだと確信し、中国で研修を積み重ねました。
その後、私の考えに賛同してくださった先生方を招き、中医師（中国における漢方医）漢方を中心とした相談薬局として開業しました。勉強を進めていくうちに中医学の中には漢方と鍼灸、それぞれ良いところを生かした治療方法があると知りました。ぜひ、この漢方と鍼灸双方の力を最大限に生かした治療が受けられる場を作りたいとの思い、現在の漢方薬局・鍼灸治療院併設型の店舗も開業しました。

－具体的にはどのような取り組みをしていますか?

漢方をお出しするまえにはじっくりと時間をかけてお話しています。まず、中医学の知識を持った薬剤師が体の状態や生活習慣などをお聞きし、どんなお悩みがあるか不調を感じているのかをお伺いします。その上で漢方が適していると判断した場合には中医学カウンセラーがアドバイザーや専門家の立場からアドバイスをし、お一人お一人にあった漢方を処方します。中医学（中国漢方）をもとにしていますが、日本特有の疾患、アトピーや自律神経の乱れなどに悩む方も多いので、「何が何でも中医学で」というよりは疾患に合わせていろいろな対応をしています。そして、なにより大切なのはお客様の性質や何を求めていらしたのかといった気持をくみ取ることです。そのために、薬剤師やスタッフは心理学も勉強しています。お客様の目的は「とりあえず気休めでもいいから」「雑誌やテレビで○○漢方がいいと聞いたから」など理由は様々ですが、どんな場合にもこちらの知識を一方的に押し付けるのではなく、きちんと相手の心に届く伝え方で漢方について理解してもらうようにしています。

－人材育成について実践していることはありますか

　医療人としてのあるべき姿や誠心堂の理念については教えますが、マニュアル的な指導はしていません。薬に関しての知識があるのは大前提ですが、お客様への伝え方やアドバイスなどはぞれぞれの人間性を活かしたいと思っています。お客様にも様々な個性があるように、薬剤師をはじめとするスタッフにも個性があっていいのではないでしょうか。病気や症状にあった薬を処方するだけでなく、お客様から「あなたに会えてよかった」と言っていただけるような存在になってほしいと思っています。

－今後の展望についてお聞かせください

現在もクリニックや企業と協力して健康に関するセミナーやイベントを開催していますが、これからも積極的に情報発信をしてきたいですね。今後は西洋医学と東洋医学の混合治療が進んでいくと思いますから、医師との意見交換や交流も積極的にしていく必要があると思っています。先々ですが、「介護」についても東洋医学の発想を活かした取り組みをしたいですね。例えば「老化した体の機能を取り戻す」という考え方で漢方や鍼灸ができることはどんなことなのか、今後の課題として取り組んでいきたいと思っています。