熱中症予防


今年は全国的に梅雨明けが遅れているそうですが、それでも暑い日は続いていますね。こんなときに注意したいのは熱中症です。
「熱中症? 対策は真夏になってからでOKでしょ……?」そんなふうに思われる方も多いかもしれません。ですが、実は熱中症のリスクが高まるのは梅雨時から。そこで今回は、今から夏場にかけてぜひ知っておきたい熱中症について取り上げたいと思います。

 

■熱中症って……?
熱中症は、体温の上昇に身体の機能が適応しきれなくなって起こります。主な症状としては、めまい、失神、頭痛、吐き気、気分が悪くなる、体温の異常な上昇、異常な発汗(または汗が出なくなる)などがあります。高温や多湿で身体の熱が逃げにくくなったときに起こりやすく、日射病とは異なり室内でも発症することがあります。

 

■どんな人が熱中症になりやすいの?
長時間にわたって炎天下で仕事などをする場合だけでなく、下痢や発熱などの脱水状態にあるときにも注意が必要です。また、高齢者や5歳以下の乳幼児、授乳中の方、肥満体型の方なども熱中症になりやすくなっています。

・高齢者の「かくれ脱水」に注意
熱中症による死亡者の約80%を占めるのが高齢者。高齢者は非常に熱中症になりやすいのですが、その主な理由は次の①~④です。
①老化で暑さや寒さを感じる皮膚のセンサーが鈍感になっている。
②汗腺が委縮して体温調節の機能が落ちている。
③のどの渇きも感じにくい。
④体内の水分量が少ない(乳幼児70%、成人60%に対し、高齢者は50%程度)。
高齢者の場合、軽度の熱中症がわずか30分程度で重篤化することもあります。さらに、体液が失われて脱水状態の一歩手前になっていても自覚のない「かくれ脱水」の状態になっていることも多いのです。1人暮らしの高齢者では節約のためにエアコンの使用を控えているという方も多く、特に注意が必要です。身近な人が、こまめな水分補給や気温が28℃を超えたらエアコンを使ってもらうなどの声掛けをしましょう。

・乳幼児
体温調整機能が未発達な乳幼児にも注意が必要です。代謝が盛んなため発汗によって身体の水分が失われやすく、また、不調や不快を周囲に上手に伝えられないことも多いので、保護者の方が十分に注意してあげましょう。特にベビーカーで戸外に出る場合など、大人の体感温度が30℃でも、路面に近いベビーカーの上は40℃以上になるともいわれています。また、たとえ短時間であっても自動車の中に子どもを残すのは大変危険です。決してしないようにしましょう。元気がない、おしっこの量が少ない、皮膚に弾力がないなどは熱中症のサインです。

・その他
授乳中のお母さん、下痢・発熱などの脱水傾向にあるとき、睡眠不足のとき、疲れているときなども注意が必要です。

 

■熱中症の予防方法
水分・塩分を十分に補給すること。暑さを避けること。この2つが熱中症予防の基本です。
戸外に出るときには、帽子や日傘を使い、炎天下を避けるようにしましょう。家の中では、風通しを良くし、カーテンやすだれで直射日光を避け、エアコンを適切に使うことが大切です。また、服装も吸水性・風通しの良い素材のものを選び、輻射熱を吸収する黒色系のものは避けることが望ましいでしょう。
水分補給は、のどの渇きを感じてからではなく、のどが渇く前にこまめに飲むのがポイントです。水やノンカフェインのお茶、スポーツドリンクなどが効果的です。このとき、冷やしすぎた飲み物だと胃腸にダメージを与えてしまいますので、できたら常温程度のものにしましょう。アルコールやカフェインの入った飲み物は逆に体内の水分を失わせてしまいます。水分補給という観点からは逆効果だということを忘れずに。
また、日ごろから睡眠不足になったり疲れがたまったりしないよう、健康的な生活を心がけましょう。夏の旬の食べ物、スイカや梨、メロン、キウイなどは、身体を潤わせながら余分な熱を冷ましてくれる効果があります。身体を冷やしすぎない程度に意識して取り入れ、旬の味覚を楽しむのもいいですね。

 

■それでも熱中症になってしまったら……
熱中症になってしまったときの対処法の基本は、身体を冷やすことと水分を補給することの2つです。ただし、皮膚が冷たくなったり(Ⅱ度・中等症)、体温が40℃近くまで上がり汗が止まって意識障害が生じたりする(Ⅲ度・重症)ような場合には、ただちに病院にかかり、適切な処置を受ける必要があります。

熱中症の種類と症状2

熱中症の正しい予防法と対処方法を知り、元気に夏を乗り切りましょう。

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